Pomme Grenade

Mon dessin numéro 1. Il était comme ça:

"socially acceptable insanity"

"Falling in love is kind of like a form of socially acceptable insanity.”

Spike Jonze, (2013/her)

 

これは私が今まで無数の映画を観てきた中で最も心の琴線に触れたセリフである。

 

作品はAIとのロマンスを描いた『HER』というもの。映画自体は正直気持ち悪かった。

傷心した主人公の心の隙間にAIが入り込んでいて、それを受け入れてしまう主人公の心の弱さと人間の感情を完全に凌駕しているようなAIの知能の様子が妙にリアルで恐ろしく、倫理観がぶっ飛んでいて気持ち悪かった。

 

現実と非現実の臓器移植のような感じ。

 

恋は人を盲目にさせると言うが、まさに主人公の理性がAIという理想のパートナーを目の当たり()にしてぶっ飛んでいた。

 

たしかになと、このセリフを聞いた時は思った。自分のプライベートという最も大切な時間を犠牲にしてまで別の人に何かを与えたいと思うような積極的な気持ち。利害とか損得勘定を差し置いて自分を捧げる、というような行動。

 

人間ともあろう生き物が、合理的に社会形成を行なっている生命体が愛という名の欲望を前に骨抜きにされている様子はまさに「社会的に受け入れられている狂気」と言えよう。

 

合理的な価値判断を狂わせ、それさえも正当化しうる社会における「愛」の感情はいつの時代も社会の真髄にあると思った。