Pomme Grenade

Mon dessin numéro 1. Il était comme ça:

葉桜

悪天候と風に煽られ、東京の桜は見上げるよりも見下げる量の方が多くなった。

 

純粋無垢な桃色混じりの白が青い空とのコントラストを魅せていた季節から一変、茶色と緑が混在するくすんだ桜の季節である。

 

美しく咲き続けたいという桜の花弁たちの執着心と、若芽のありありとした生命力が拮抗してるこの状態を葉桜と呼ぶと思っていたのだが、どうやら違うらしい。

 

桜の花が散り若葉が出始める〜新緑で覆われる季節を指すらしい。広義ではあっているのかもしれないが、厳密にいうとまだ「散りかけの桜」あたりが正しいのだろう。

 

私は、満開の桜よりも、葉桜(広義)が好きだ。

満開だった季節を惜しむのは勿体無い。葉桜こそ、前向きで新鮮で、止まった時間を前に進めてくれる、そんな力に満ち溢れている。

 

桜は、その可憐さを愛でるために、さも蝉が1週間ほどの地上での生活が本番であると言わんばかりに、生きていると思われがちである。

 

地上に最初に根を張り、幾多の季節を乗り越え、葉が散る時も、花弁が咲き乱れる時も、枝が折れる時も、全てが桜の生命であり、そこに根を張り逞しく立ち続ける限り桜は桜といういきものとして評価されるべきなのである。

 

止まった時間を、前に進めよう。

桜の花びらの美しさばかりに気を取られてしまっては、その幹の生命力に、枝の向上心に気付けない。

 

落ちた花弁すら養分にして、また平和に明日を迎えるために、逞しく生きていきたい。