電車
今目の前に、俳句の本を読んでいる綺麗な藍色の着物を身に纏ったおばさまが座っている。
右にはスポーツウェアを着たいかにもスポーツジムに向かっていそうなガタイの良いお兄さん。
左側でギリギリ視界に入ってくるのは、2人だけの世界に入っている若いカップル。
属性も背景も全てが異なるものが同じ椅子にこじんまりと横並びになっている。
隣には完全に得体の知れない他人が座っているのに、睡魔に負けて身を任せたり、逆に肘で小競り合いをすることもある。
小さい世界の大きな多様性がここにはある。
でも基本的にみんな自分の目の前のものに夢中だ。
きっと、宇宙人が隣に座ってても気が付かないかもしれない。
不思議な非日常。とっても大好き。